天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「なるほどね。ひょっとして、そう思わせたのも田辺?」
「……はい」
小さく返事をする私をギュッと抱きしめ、先生はその美しい顔を歪めた。
「言葉で揺さぶりをかけたんだな。茉莉花ちゃんの優しさにつけ込むなんて本当に許せない奴だ」
「ごめんなさい。私がもっとしっかりしてれば」
謝る私の背中を彼は優しくトントンと叩く。
「茉莉花ちゃんが悪いわけじゃない。でも、これからはなにかあったら必ず俺に報告すること。いいね?この名刺は俺が捨てておく。今日はなにも考えずおやすみ」
抱擁を解いて私から離れようとする先生の腕を思わず掴んだ。
「茉莉花……ちゃん?」
先生と離れたくない。
ずっと抱きしめていてほしい。
「行かないで。もっとギュッとしてほしい」
氷室先生の目を見て懇願するように訴えた。
「わかった。一緒にいるよ」
先生が再び私を抱きしめる。
それだけで心が不思議と落ち着いた。
やっぱり先生は特別。
彼の胸に頬を寄せ、心の声をそのまま言葉にして伝えた。
「私……先生が好き」
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