天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない～独占欲に火がついて、とろとろに愛されました～

今も俺に笑ってみせるが、もう見ているのも辛い。
それに、俺を追い出そうとしてる。
なにか悩んでいるのか聞こうとしたら、スマホの着信音がした。
ベッドの中にあるのか音がこもっている。
「茉莉花ちゃん、これスマホの音でしょ？ずっと鳴ってるけど、出なくていいの？」
俺がそう言葉をかけたら、彼女はどこかぎこちない笑みを浮かべた。
「いいんです。どうせ兄だと思うので」
俺が恋人のフリをしたからお兄さんからしつこく電話がかかってくるのだろうか。
しかし、様子がかなり変だ。
「俺のことでなにか言われてる？だったら、俺がお兄さんと話をするよ」
俺の申し出を彼女は笑顔で断る。
「いえ、大丈夫ですから」
「いいから」
なにか隠しているような気がして、スマホを確認しようと布団をめくった。
「待って！」
彼女が俺を止めようとしたがもう遅い。
ベッドの上にスマホと名刺が一枚あって、スマホに手を伸ばしたら着信音が消えた。
「あっ、電話は鳴り止んだな。ん？これは……田辺の御曹司の名刺？どうして持ってるの？」