天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
それでも打ち明けてくれないのは、俺に迷惑をかけたくないからだろう。
自立心の強い子だから人に頼りたくない彼女の気持ちはよく理解できる。
茉莉花ちゃんの頬に手を添えたら、彼女は俺と目を合わせたくないのかギュッと目を瞑った。
俺を直視するのが辛いんだな。
「茉莉花ちゃん、今日ホテルで田辺を見かけた。医療機器の売り込みに来たんだろうけど、君も彼に会ってなにか言われたんじゃないの?カフェに行ってからずっと様子がおかしいよ」
優しく声をかけるが、彼女は苦しそうに言い返す。
「本当に……なんでもない」
「だったら、ちゃんと俺の目を見て言って。俺には茉莉花ちゃんの心の声が聞こえるよ。「先生、助けて」って」
根気強く説得したら、彼女がやっと目を開けて俺を見てくれた。
「先生……」
「田辺になに言われたの?ひとりで悩んじゃダメだよ。俺がついてるから」
俺の言葉を聞いて、彼女は泣きながら田辺との話の内容を打ち明けた。
茉莉花ちゃんの父親の会社が危ないなんて大嘘をついて、彼女に結婚を持ちかけたことに怒りを覚えた。
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