天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
もし、俺が追及しなかったら、茉莉花ちゃんは田辺との取り引きに応じていたかもしれない。
俺が片岡製薬の業績は悪くないことを話すと、茉莉花ちゃんはホッとした顔をした。
俺の父親も製薬会社の社長をしているから、俺の説明には信憑性があると思ったのだろう。
茉莉花ちゃんも父親に確認すれば田辺の話が嘘だとすぐにわかったはずなのに、田辺はそうさせないようにした。
「言葉で揺さぶりをかけたんだな。茉莉花ちゃんの優しさにつけ込むなんて本当に許せない奴だ」
茉莉花ちゃんをしっかりと抱きしめながら田辺を罵ると、彼女は申し訳なさそうに謝った。
「ごめんなさい。私がもっとしっかりしてれば」
「茉莉花ちゃんが悪いわけじゃない。でも、これからはなにかあったら必ず俺に報告すること。いいね?この名刺は俺が捨てておく。今日はなにも考えずおやすみ」
そう釘を刺して、茉莉花ちゃんから離れようとしたら、彼女に腕を掴まれた。
「茉莉花……ちゃん?」
ビックリして再び目を向けたら、彼女は涙で潤んだ目で俺を見上げた。
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