天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「行かないで。もっとギュッとしてほしい」
彼女がそんなお願いをするのは初めてだ。
それだけ不安で、それだけ俺のことを受け入れてくれているのだろう。
「わかった。一緒にいるよ」
安心させるように言って、茉莉花ちゃんをこの腕に抱きしめる。
もっと俺を頼ってほしい。
彼女がいいと言うまでこのまま抱いていようと思った。
なにか気が楽になるような話をしようと思ったら、彼女が俺をギュッと抱きしめ返して、呟くように言った。
「私……先生が好き」
茉莉花ちゃんの告白にドキッとした。
彼女が倒れた時に看病して少しずつ距離が近づいた感じはしていたし、俺のキスを拒む様子もなかったから、俺に好意を持っているとは思っていたが、このタイミングで思いを告げられるとは予想していなかった。
女の子の告白なんてこれまで何度もあったのに、自分が好きな相手に言われると胸がじわじわと熱くなる。
「茉莉花ちゃん」
彼女の名前を呼び、両手でその頬を包んで視線を合わせると、「俺も好きだよ」と伝えてそっと口付けた。
唇を重ねることで自分の思いを伝える。
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