天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「俺と小鳥遊は病院に寄ってから帰るけど、茉莉花ちゃんは先にマンションに帰っていいよ」
樹や小鳥遊先生は患者さんが気になるのだろう。
「いえ、私も行きます。仕事溜まってないか気になるし」
元々東京に戻ったら病院に行くつもりでいた。
そんな私を見て小鳥遊先生が思い出したように言う。
「あっ、そう言えば香織から伝言頼まれてた。仕事のことは心配いらないから今日は家に大人しく帰れって」
小鳥遊先生、私と約束守って香織さんに連絡してくれたんだ。
「そうなんですね。ではお言葉に甘えて私はマンションにそのまま帰ります」
小鳥遊先生と香織さんとの仲が進展してくれたらいいな。
樹たちとは別のタクシーに乗って帰るが、タクシーを降りるとマンションの出入り口の外壁に大学生くらいの青年がもたれ掛かっていて凄く気になった。
背丈は樹より少し低くて、細身。
ブルーのシャツに黒のデニムのパンツとシンプルな出立ちだが、なんだか目立つ。
よくよくその顔を見ると、髪は黒髪だけれど樹に似ていた。
「あのう、どうかされました?」
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