天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
優しく注意する樹に向かって兄が声を荒らげる。
「誰がお義兄さんだ!」
兄はすっかり樹に遊ばれてる。
こうして兄と樹を比べてみるとやはり樹の方が年上だけあって大人な感じだ。
「ちょっと中で話ましょう。茉莉花ちゃんも入って」
樹に言われ、兄と診察室に入る。
「どうぞ座ってください」
そう言って兄に椅子を勧め、樹は自分の椅子に腰掛けた。
私は樹の後ろで立っていると、兄は眉間にシワを寄せた。
「茉莉花、なんでそいつの後ろにいる?」
「私は病院の人間ですから」
素っ気なく返したら、私の返答が気に入らなかったのかスーッと目を細めた。
「だが患者の家族でもあるだろう?」
「患者?お兄ちゃん元気じゃないの。他の患者さんだっているんだから樹の話が終わったらさっさと帰ってね」
兄に冷たく言い返したら、樹が割って入った。
「はい。兄弟喧嘩はそこまで。お義兄さん、僕が気に入らないのはわかりますが、喧嘩してる場合ではありません。田辺が茉莉花ちゃんを狙っています」
樹の話に兄は急に表情を変えた。
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