天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「田辺って……あの田辺雪也か?」
「ええ。茉莉花ちゃんに再会してまたアプローチしています。しかも片岡製薬は危ないから結婚しろと揺さぶりまでかけて」
樹が田辺さんのことを伝えると、兄はチッと舌打ちした。
「あいつめ、どこまで茉莉花を苦しめたら気が済むんだ。もう茉莉花のことは諦めたと思っていたのにな」
兄は私が田辺さんの元カノに襲われた時、田辺さんの胸ぐらを掴んで『もう金輪際妹に近づくな』と怒鳴ったらしい。
それだけ私のことを思ってくれているということなの
だけれど、またお兄ちゃんが暴走しないか心配だ。
会社ではクールな切れ者御曹司で通っているのに、私のこととなるとヒートアップする。
「片岡製薬ではなく、茉莉花ちゃん自身が欲しいんでしょうね。まあ、気持ちはわかりますが、田辺は危険です。僕の方でもできるだけ茉莉花ちゃんを守りますが、お義兄さんの方でもなにか田辺の情報を掴んだら教えてください」
樹の依頼に兄は珍しく首を縦に振った。
「わかった。俺の方で田辺の同行を調べてみる。茉莉花、ひとりで出歩くなよ」
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