天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「うん」
「ひとりでいるのが怖いなら、家に帰ってきてもいいんだぞ」
兄が優しい目をしてそんなことを言うものだから、ちょっと目頭が熱くなった。
「お兄ちゃん……」
思わず「うん」と言いそうになったが、私より先に樹が答えた。
「それは大丈夫です。僕がついていますので」
ニコッとする樹を見て兄は面白くなさそうな顔をするが、ハーッと息を吐いて突然背筋を正し、頭を下げた。
「妹をよろしくお願いします」
あのプライドの高い兄が樹に頭を下げるなんて思ってもみなかった。
そんな兄を真っ直ぐに見て樹は約束する。
「ええ。絶対に守ります」
「もうふたりとも、真剣に考えすぎ。この一週間なにもなかったし、私のことなんてもうなんとも思ってないかもしれないよ」
場の空気が重くてそんなことを言ったら、樹と兄から突っ込まれた。
「「それは絶対にない」」
仲は決してよくないのに声がハモってる。
考えてみたらふたりとも私に対して過保護なんだよね。
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