天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「じゃあ隼人、僕のことは樹で。あと、敬語もやめようか」
樹が嬉しそうに提案すると、兄もニヤリとした。
「そうだな。かしこまって話すのも疲れるし。じゃあ、俺はそろそろ会社に戻らないと」
椅子から立ち上がって診察室を出る兄を私と樹が見送る。
「お兄ちゃん、ちゃん仕事してね。もう勤務時間に来ちゃダメよ」
私が釘を刺すと兄は小さく頷いた。
「わかってる。樹、早速田辺の動向探ってみるよ」
「ああ。頼む」
樹がそう返事をすると、兄はこの場から去った。
「樹って人たらしですよね?」
横にいる樹を見上げてそんなコメントを言ったら、彼は首を傾げた。
「そうかな?」
「あの兄を懐柔するなんてすごいですよ。一緒になって注意されるのは嫌ですけど、家族と樹が仲良くしてくれるのは嬉しい」
ふふっと笑みを浮かべる私の頬に彼が触れた。
「茉莉花ちゃんの家族だからね。俺も大事にしたいって思うよ」
「樹、ありがとう。では、私は仕事に戻ります……きゃっ!」
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