天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「それは私も同じ。ほら、お兄ちゃん、お肉焦げちゃうよ」
私がトングで兄が焼いた肉を小皿に置いてあげると、横にいた樹がクスッと笑った。
「茉莉花ちゃんの肉も焦げそうだよ」
「あっ」
自分の肉のことは失念していて変な声を上げる私。
「ほら、冷めないうちに食べなよ」
樹が私の小皿に肉を置いてくれて、「うん」と頷いて肉を口にしたら、兄の視線を感じた。
「どうしたの?」
顔を上げて尋ねる私に、兄はちょっと拗ねたような顔で小さく笑った。
「茉莉花と樹の笑う顔が同じだと思って」
「そうかな?初めて言われた。一緒にいる時間が長いせいかな」
首を傾げつつ樹と目を合わせたら、兄は「なんか妬ける」と言ってビールをグイッと飲んだ。
「まあまあいいじゃないか。茉莉花ちゃんと隼人も兄妹だけあって似てるよ」
樹がフォローすると、兄はフッと笑ってしみじみと言う。
「なんかこういうのもいいのかもしれないな」
「俺、大学生の弟がいるんだよね。今度弟も加えて四人で食事しよう」
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