天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない～独占欲に火がついて、とろとろに愛されました～

ガラガラッという音がして、ストレッチャーが運ばれてきて、いつの間にか自分が乗せられてどこかに運ばれる。
なんだか夢を見ているかのよう。
一体どこへ運ばれるのか。
そう思ったところで意識がなくなって、目を開けたら十畳くらいのフローリングの床に寝かされていた。
「……身体が痛い」
起き上がって自分の着衣を確認するが、乱れてはいなくてホッとする。
部屋には私ひとり。
カーテンがあるだけで、家具は一切置いていない。
腕時計を見たら、七時を回ったところだった。
だが、午前なのか午後なのかわからない。
カーテンを開けると、窓には鉄格子があって、目の前は海だった。
ちょうど夕陽が沈んでいくところで、じっと眺めながらポツリと呟く。
「夕方……か。それに……海。ここはどこ？」
スマホはナースステーションの自分のデスクに置いたまま。
談話室に行ってから四時間以上経過している。
病院のみんなはどうしているだろう。
香織さん、ひょっとしたら私を探してるかな。
スマホがなければ連絡が取れない。