天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない～独占欲に火がついて、とろとろに愛されました～

「お腹空いたでしょう？食べてください。ここ新築でまだ家具揃えてないんですよ。不便でしょうが、もう少し我慢してください」
トレーにはペットボトルの水とパン、シチューが乗っているが、この状況で食欲なんてないし、彼からもらった食べ物を口に入れたくない。
「ここどこですか？どうして私を誘拐なんかしたんですか？」
田辺さんを警戒しながらそう尋ねたら、彼は悪びれた様子もなく答えた。
「ここは千葉の僕の別荘です。茉莉花さんと暮らしたくて最近購入したんですよ。すぐ目の前が海で気に入りましてね。僕はなにがなんでも茉莉花さんが欲しい」
この人はなにを言っているのだろう。
私は樹と付き合っているのに。
「私には好きな人がいます！」
田辺さんを見据えてはっきりと言うが、ニコニコ顔で返された。
「構いません。必ず僕のことを好きにさせますから」
ソフトだが、かなり怖いことを言っている。
「わ、私はここから出られないんですか？」
声が震えるのを止められない。