天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
次のメッセージには【見失った。ひとまず奥多摩の別荘に向かってみる】とあって、ギュッと唇を噛む。
緊迫した状況。
落ち着け。冷静になるんだ。
正面玄関に向かいながら隼人に電話をかけたら、すぐに繋がった。
「メッセージ見た。俺は房総に向かうから逐一状況知らせて」
《見失って悪い》
「大丈夫。絶対に見つけよう。だから、ここで落ち込むな」
絶対に彼女を救う。
彼を励まして電話を切ると、小鳥遊と弟の透が息咳切って正面玄関に現れた。
「氷室、茉莉花ちゃんが田辺に攫われた。今茉莉花ちゃんのお兄さんが後を追ってるらしい。警察には連絡した」
「ああ。今隼人と電話で話した。茉莉花ちゃんを見失ったらしい。隼人は奥多摩の田辺の別荘に向かってるが、俺は館山に行く」
小鳥遊の言葉に頷いてタクシーを呼ぼうとしたら、透が俺にバイクのヘルメットを渡した。
実は今夜俺と食事の約束をしていた。
「俺のバイク使って茉莉花さん追いなよ」
「サンキュ。小鳥遊と透もタクシー拾って館山に向かって!」
口早にふたりに伝えて、近くに停めてあった透のバイクに跨ると、ふたりがタクシーに乗るのを見て発進させた。
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