天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
力加減できなかったせいか、田辺はドンと壁にぶつかって、痛みからかうずくまる。
俺はその間に茉莉花ちゃんを抱き起した。
「大丈夫か?怪我は?」
見たところ怪我はなさそうだが、本人の返事を聞かなければ安心できない。
「だ、大丈夫」
少しショック状態の彼女は声を震わせながら答えて、俺にギュッと抱きついてきた。
近くでパトカーのサイレンの音が聞こえる。
「もう大丈夫だよ」
彼女を抱きしめ返して安心させると、田辺を見やった。
「自分がなにをやったかわかってるか?警察も来たようだし、全て話して悔い改めろ」
「……悔い改めろだあ?お前なんか消えろ〜!」
急に優男から態度の悪いゴロツキに豹変した田辺はポケットからナイフを取り出して、襲いかかってきた。
「キャッ!先生〜!」
田辺を見て叫ぶ茉莉花ちゃんの前に出ると、田辺の腕を掴んだ。
「本当に茉莉花ちゃんが好きならこんな危ないもの振り回すなよ!」
ギロッと田辺を睨みつけたら、彼は狂気に満ちた目で声を荒らげる。
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