天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「茉莉花は華奢だから少しくらい太っても全然問題ないけど」
「そういう甘いセリフ言わないでください。それ信じて食べたら豚か牛になりますから」
樹は私に甘すぎなのだ。
「俺の誘惑になかなか屈しないところが茉莉花だよね」
「いえ、いろいろ誘惑に屈してますよ」
すぐに否定したら、彼は面白そうに目を光らせた。
「そうかな?例えば?」
「樹の部屋に一緒に住んでます。今も同棲なんてとんでもないことしてるなってたまに思います」
一年前の自分では考えられなかった。
「そうだね。茉莉花の性格ならダメって言いそうなのに、どうして誘惑に屈しちゃったの?」
私の返答を聞いて樹は至極楽しそうに目を光らせる。
「……そんなのわかってるくせに」
小声で返すが、彼ははっきりした理由を求める。
「ちゃんと言葉にしてくれないとわからないな」
意地悪く聞いてくるところがドSだと思う。
そんな樹をじっとりと見るが、彼はニコニコ顔で私が言うのを待っている。
これは絶対に引き下がらないつもりだ。
「そ、それは……樹と一緒にいたかったから」
ゴニョゴニョと口籠もりながら答える私を見て、彼はニコッとしながら謝った。
< 236 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop