天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
みんな元気で笑っていてほしい。
病棟ナースへの挨拶も済ませると、脳神経外科部長の久我先生がやってきた。
「君が茉莉花ちゃんか。今日からよろしく頼むね」
年は五十くらい、丸顔で白髪混じりの久我先生は、気さくで、見た目はどこにでもいる近所のおじさんだが、脳外科医としては超一流。
香織さんの話では氷室先生も小鳥遊先生も久我先生の弟子らしい。
「こちらこそ宜しくお願いします」
深々と頭を下げたら、先生は「なにかあったらいつでも僕に言ってね」と言って去っていった。
そこへ、白衣を着た若い先生が現れた。
「あー、眠い〜。でも、その前に飯〜」
短髪のマッシュヘア、背は氷室先生よりは少し低く、美少年顔。まるでどこかのアイドルだ。
この人は誰だっけ?
じーっとその先生を見ていたら目が合った。
「あっ、ひょっとして氷室先生が言ってた新しい病棟クラークの人?確か……茉莉花ちゃん!」
先生も『茉莉花ちゃん』なんですね。
「はい。如月茉莉花です。よろしくお願いします」
苦笑いしながら挨拶したら、とびきりの笑顔で返された。
< 29 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop