天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「そうですか?私、誰に対してもそうですけど」
「いや、普通は氷室先生見て頬を赤く染めるとかあると思うんだよね」
長野先生の説明を聞いて、軽く謝った。
「はあ。普通の反応じゃなくてすみません」
「いやいや、これからいろいろ楽しめそう。じゃあ、僕帰ります」
なにを楽しむというのだろう。
長野先生がいなくなると小鳥遊先生がやってきて、香織さんにカルテを渡した。
「今集中治療室にいる加藤さん、明日から一般病棟に移すから手続き頼む」
「了解です。小鳥遊先生、目の下隈できてますけどちゃんと寝てる?」
香織さんの質問に小鳥遊先生は表情を変えずに答えた。
「それなりに」
「また深夜過ぎても論文見てたでしょう?」
「ちょっとだけだ。じゃあ、俺回診あるから」
香織さんの頭をポンと叩くと、小鳥遊先生はナースステーションを出て行った。
なんだか親しげで、完全にふたりの世界だった。
小鳥遊先生に挨拶しようと思ったけど、声をかけられなかったな。
「小鳥遊先生と仲いいんですね」
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