天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「茉莉花ちゃん、初日だし無理しなくていいよ。私も手伝う」
香織さんが私に手を差し出したが、笑顔で断った。
「大丈夫です。このカルテ入力したら帰ります。香織さん、お疲れ様でした」
「あまり無理しないでね」
「はい」
帰る彼女に軽く手を振り、カルテの入力を済ませると、今日取ったメモを清書してまとめ、パソコンの電源を落とした。
腕時計を見ると、午後八時を回っていた。
「お腹空いた。今日はもう作る気力ないからコンビニのお握りでも買おう」
フーッと息を吐いて席を立ち、周りにいる看護師に挨拶して病院を後にする。
疲れてはいるが、五分でマンションに帰れるのは有難い。
そう言えば、家賃のこととかしっかり氷室先生と話さないと。
支払い方法とか聞いてない。
それにあのマンションに一万円は安すぎだ。
病院の近くにあるコンビニに立ち寄ろうとしたら、いきなり大粒の雨が降ってきた。
突然のゲリラ豪雨。
今朝は晴れていたから傘は持っていない。
すでにずぶ濡れ状態。
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