天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
溜め息をつきながら身支度を整えていたら、スマホがブルブル震えた。
画面を見たら、また兄からの着信。
これから出勤だというのに勘弁してほしい。
兄の電話は無視してマスクをして出勤すると、みんなに心配された。
「茉莉花ちゃん、大丈夫?」
朝一目見るなりそう聞いてきた香織さんに、笑ってみせた。
「大丈夫です。昨日雨で濡れちゃってちょっと風邪気味なだけで」
「ああ。昨日のゲリラ豪雨凄かったものね」
周囲にいた看護師さんも「これ舐めるといいよ」と喉飴を差し入れてくれる。
このくらいの風邪、気力で治そう。
気合を入れて仕事してたら、氷室先生がふらっと現れた。
「あれ?茉莉花ちゃん、風邪引いたの?」
「ちょっと喉がイガイガするだけです。あの、ジャケットクリーニングして返しますね」
普通に自分で洗濯しようとも思ったけど、先生の服はブランド物でクリーニングに出すのがいいと思った。
「そのまま返してくれればいいから」
氷室先生はそんなことを言うが、やはり礼儀としてキチンとクリーニングして返すべき。
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