天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「いえいえそんな訳にはいきません」
強く主張してまた仕事に集中するが、今日は入院する患者さんが多かったせいか激務だった。
「茉莉花ちゃん、大丈夫?顔色悪いよ。早退したら?」
香織さんが私を気遣うが笑顔で断った。
「大丈夫です。熱もないですし。あっ、私、坂田さんの退院手続きの説明に行ってきます」
腕時計をチラッと見て席を立つ。
クラッと目眩がしたが、構わず仕事を続けた。
だが、頭がボーッとしてきて体調がどんどん悪くなる。
夕方定時で上がり、途中コンビニに立ち寄って食料を買って帰宅すると、お握りを食べて、市販の風邪薬を飲んだ。
お風呂に入る気力はなく、寝室に行き、ベッドに横になる。
熱ぽかったが体温は測らなかった。
熱があるとわかればますます体調が悪くなるような気がしたのだ。
私は元気、私は元気。
何度も自分にそう言い聞かせる。
今日ラッキーだったのは、脳外科医の先生方とあまり顔を合わせなかったこと。
多分急患が多かったのだろうが、会わなければ風邪を移す心配はない。
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