天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
『社長室にどうして平社員の如月さんが呼ばれるの?まさか社長の愛人?』
『如月さん、受付でナイフで刺されたらしいわよ。なんでも、誰かの彼氏を寝取ったんですって』
それは私が言われてきた陰口。
事実を知らない人たちが勝手なことを言う。
夢でも私を苦しめるのか。
気にしないようにしていても、その言葉は棘となって私の心に突き刺さる。
多分、私が片岡茉莉花でいれば、そんな陰口は言われなかっただろう。
片岡家の人間ではないから認めてもらえない。
「……どうして私自身を見てくれないの?」
泣きながらそんな言葉を口にしたら、なにか温かいものに包まれるように抱きしめられた。
「俺はちゃんと見てるよ。茉莉花ちゃんはいつも誰かのために頑張っているよね」
それは氷室先生の声だった。
心に優しく溶け込んで、過去に傷ついた私を癒やしてくれる。
ああ、私を認めてくれる人がいる。
そう思ったら気持ちが落ち着いてきて、優しい眠りに誘われた。

ピピッと耳元で体温計の音がして目を開ける。
目の前には氷室先生がいた。
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