天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
ということは腕の傷跡も見られたに違いない。
恥ずかしいという気持ちよりも、先生にお世話までさせた上に見苦しいものまで見せて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
先生だって今日仕事がある。
サポート要員の私が先生の足を引っ張ってどうするの?
ギュッと唇を噛んだら、先生に呼ばれてハッとした。
「……ちゃん、茉莉花ちゃん」
「は、はい」
返事をして先生の顔を見たら、彼はトレーに乗せたお粥をベッドサイドのテーブルに置いて椅子に座った。
「とりあえず、お粥食べて薬飲もう」
「でも、先生もお仕事あるので帰ります。家、隣ですし」
「せっかく作ったんだから食べてよ。はい、あーん」
先生が蓮華にお粥を掬ってフーフーして差し出す。
美味しそうなたまご粥。
こんなこと、小さい頃母にされて以来だ。
「あのう、ひとりで食べられますから」
困惑しながら手を差し出すが、先生は蓮華を渡してくれない。
「まあまあ、いいから。はい」
このやり取りが続けば先生は遅刻する。
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