天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
そう決めて大好きなタマゴサンドをひたすら食べる作戦に出ようとしたら、先生はまたアパートの件に話を戻した。
「さっきの話、いい物件紹介しようか?」
先生がローストビーフサンドを手に持ってかぶりつくが、その手に思わず目がいく。
相変わらず綺麗な手だ。
大きいけど、男の人なのに滑らかで、指が長く、おまけに女爪。
見てるとマニキュアを塗りたくなる。
この手で多く患者さんを救ってきたんだね。
「いえ、大丈夫です。先生が知ってるような物件に住むほど予算がないので」
外科医と事務職員とでは稼ぎが全然違う。
丁重にお断りしたのに、氷室先生は話を続けた。
「病院から徒歩五分。築二年のマンションで2LDK。家賃は一万円」
私にはとってもゴージャスな物件。しかも格安だが……。
「そんな物件ある訳ないじゃないですか。本当にあるのなら、なにか裏があるに決まってます」
淡々と返す私を見て、先生の目がキラリと光った。
「察しがいいね、茉莉花ちゃん。そう、うちの病棟クラークになってくれたら貸すって条件付きだ。俺が衣装部屋にしてる部屋でね」
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