天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
そんなことを考えながら改めて部屋の中を見回す。
十二畳はありそうな寝室。
高級そうなベッドとテーブル、それにテレビが置いてあって、ホテルみたいに整然としている。
先生の病院のデスクも綺麗だし、キチンとした性格なのだろう。
今まで個人的に男の人と関わり合うのは避けていたけれど、先生のように優しい先生もいるんだ。
身内でもないのに仕事以外で親切にしてくれる人がいるなんて思わなかった。
私は先生のためになにができる?
薬を飲みながらそんなことを考えていたらまたうとうとして、また目が覚めて……そんなことを繰り返していたら温かい手が私の額に置かれていた。
「うん。熱下がったみたいだな。ちゃんと寝てたね。偉いよ」
「先生?お帰りなさい」
目を開けると、スーツ姿の氷室先生がいた。
「ただいま。夕飯まだだよね?」
「まだですけど帰ります。先生のベッド占領してしまってすみません。あの、シーツあれば交換します」
起き上がってベッドを出る私を見て先生は腕を組む。
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