天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「熱が下がってもまだ病人だよ。せめてうちで夕飯食べていくといい」
そんなやり取りをして先生の家で夕飯をご馳走になり、自分の家に帰ろうと先生の部屋を出た。
「どうもお世話になりました。あのこの服も洗って返しますので」
ペコッと頭を下げてお礼を言ったら、よく知った声が聞こえてビクッとした。
「茉莉花、その男は誰だ!」
「お兄ちゃん?どうしてここに?」
驚いて振り返ると、仕事を終えて来たのかスーツ姿の兄がいた。
背は高く、黒髪で精悍な顔つきをしていて、体育会系のイケメン。
私と氷室先生を兄は鬼のような形相で見据えている。
「茉莉花が引っ越し先を教えてくれないから小鳥遊院長に聞いて来たんだよ。で、その男は誰だ?」
お願いだから体調が悪い時に押しかけてくるのは勘弁してほしい。
「勤務先の……!」
額に手を当てながら「先生」と答えようとしたら、氷室先生が私の肩に手を回してニヤリとした。
「初めまして。茉莉花さんとお付き合いさせて頂いている氷室樹と申します」
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