天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「でも、鍵もないのにどうしてここまで来れたの?」
「このマンションの責任者に連絡して妹との電話が突然切れたから安否を確認させろって言ったんだ。できない場合は警察呼ぶって脅してな」
俺様口調で説明する兄を茉莉花ちゃんはやれやれという目で見て、額に手を当てた。
「なに人騒がせなことしてるの。突然来ないでよ」
「お前が電話に出ないからだろ?で、その男は誰だ?」
殺気を漲らせて俺を睨みつける彼女の兄。
かなり頭に血が上ってるな。
そんな兄を冷ややかに見て、茉莉花ちゃんは怒りを抑えているのかフーッと息を吐きながら口を開く。
「勤務先の……!」
「初めまして。茉莉花さんとお付き合いさせて頂いている氷室樹と申します」
茉莉花ちゃんの言葉を遮り、彼女の兄に自己紹介する。
付き合ってるなんて口から出まかせを言ったのは、風邪を引いている彼女を早く休ませてあげたかったから。
「ちょっ……先生なにを言ってるんですか!」
俺の発言に目を丸くする茉莉花ちゃん。
彼女の兄も大きく目を見開いて素っ頓狂な声を上げた。
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