天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「茉莉花ちゃん、お客さんよ」
お客さん?
首を傾げながら入り口のドアに目を向けると、兄が立っていてギョッとする。
「ちょっとお兄ちゃん、なんで病院にまで来ちゃうの!」
席を立って兄の元まで行くと、文句を言った。
また来るとは思ったけど、職場に来るなんて。
私が心配なのはわかるけど、人の迷惑も考えてほしい。
「茉莉花とちゃんと話が出来なかった。さっき院長にも会ってきたが、あの男はやめておけ」
あの男とは氷室先生のことだろうか。
「私、もう二十七歳だよ。いつまでも私の心配してないで早く結婚したら?」
なるべく穏やかに言うが兄は聞き入れない。
「お前はわかってない。あの男と付き合うと苦労するぞ。恋人が欲しいなら俺の友達を紹介するから、うちに来い」
兄の言葉を聞いて怒りを通り越して失望した。
あの事件があったのにお兄ちゃんはなにもわかってない。
氷室先生とは恋人ではないと説明しようと思ったがやめた。
「私はお兄ちゃんの人形じゃないんだよ。どうして私がお父さんとお兄ちゃんから離れたと思う?帰って。私仕事中なの」
< 72 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop