天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「氷室先生、ICUの加藤さん普通病棟に移しました。ご家族にも連絡済みです」
「ああ。ありがと。茉莉花ちゃん、ちゃんとお昼取ってね」
氷室先生が自分の腕時計をトントンしてランチタイムだと知らせる。
「その言葉そっくりそのまま先生にお返します。ちゃんとお昼ご飯食べてくださいね」
ぺこりと頭を下げて去ろうとしたら、小鳥遊先生が立ち上がって私に声をかけた。
「茉莉花ちゃん、氷室がちゃんとご飯食べるか見張っててくれないか。氷室午後は手術二件入ってるから」
手術は体力勝負。
チョコなんかでお昼を済まされてはたまらない。
「はい、わかりました」
即答する私を見て小鳥遊先生はフッと微笑すると、「じゃあ、俺はちょっと内科に呼ばれたから行ってくる」と言ってこの場から消える。
「氷室先生、私お弁当取ってくるので先に食べててください」
急いでナースステーションにお弁当を取りに行き、医局に戻ると、先生が緑茶を入れてくれた。
「はい、お茶」
「ありがとうございます」
< 74 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop