天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
氷室先生の提案に顔をしかめる。
「それは絶対にないので、一生この状態かもしれません」
「世の中に絶対っていうことはない。前にも言ったけど、恋は落ちるものだからね」
私にウィンクする先生を見て、自分の魅力を無駄遣いしているとつくづく思った。
「先生、恋の伝道師になれますね。ところで先生、昨日私を着替えさせた時、腕の傷見て気持ち悪くなりませんでした?」
不意に着替えのことを思い出して尋ねたら、彼は急に表情を変えた。
「いいや。誰かに言われたの?」
「昔の同僚にちょっと……。先生が気にしてないならいいです。忘れてください。あの、私戻ります」
父の会社で働いていた時、お兄ちゃんのファンにやっかまれて『如月さんの腕気持ち悪い』とか『あんな醜いもの見せないでほしい』などと陰で言われた。
お弁当箱をそそくさと片付ける私の頬に、先生が手を添えてきてビクッとする。
「気持ち悪いだなんて思うわけがない。心配はしたけどね。怪我を負った時相当痛かっただろうし、今も痛みがあるんじゃないかって」
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