天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
『僕が来たからもう大丈夫だよ。大きく深呼吸したら、救急車呼んでくれる?』
氷室先生の目を見てコクコク頷く。
『よし、いい子だ』
大きくゆっくり深呼吸をすると、少し心が落ち着いてきた。
天才外科医が一緒にいるという安心感もあったのかもしれない。
私が救急車を呼ぶ間に、先生はおばあちゃんの脈や目を調べる。
『これは脳梗塞かもしれないな』
脳外科医が言うのだから、ほぼ間違いないだろう。
『脳梗塞……?朝子ばあーちゃんが……?』
自分の祖母と年が近かっただけに、ショックを隠せなかった。
しばらくして救急車が到着すると、氷室先生にポンと肩を叩かれた。
『君も乗って』
『え?でも……私は……』
家族じゃないんですけど……と言おうとしたが、先生が救急隊員と話し始めて、あれよあれよという間に救急車に乗せられ、勤務先の病院へーー。
救急車の中では先生が病院のスタッフと電話で話していて、緊急オペの手配をしていた。
『おばあちゃん、頑張って』
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