天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「前にちょっと見合いの話してたね」
確か父親に勝手に見合いさせられたようなことを言っていた。
それで見合い相手の話を聞いたが、彼女が席を外している間に飲み物に薬を入れるというとんでもない男だった。
医療機器メーカーの『田辺』と言ったら有名で、うちの病院にも多くの機器を納品している。
そこの御曹司である専務の田辺雪也は一見女みたいに綺麗な顔をしているが、かなりのやり手という噂だ。
それに、悪い噂もあって、数年前に当時専務だった一番目の兄と常務だった二番目の兄が立て続けに急死したことから、弟の雪也の仕業ではないかという憶測が飛び交っている。
なぜならそれで三男だった雪也が後継に決まったからだ。
それが本当なら自分の身内も出世のためなら手にかける悪魔のような非情な男。
茉莉花ちゃんは片岡製薬の社長令嬢。田辺としては是が非でもパイプが欲しかったに違いない。
彼女の腕の怪我もこの田辺のせいかと思うと、怒りが込み上げてきた。
自分の身体に傷跡が残る。
女の子なら心にもダメージを負う。
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