天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
それなのに彼女は腕の傷を見て気持ち悪くならなかったかと俺の心配した。
夏でもカーディガンを着ているのは、人に自分の傷跡を見せないため。
自分を守るためじゃなく、人を守るため。
どこまでお人好しなのだろう。
そんな優しい彼女を苦しめた田辺が許せない。
「話してくれてありがとう。その患者さんの対応は他の人にしてもらうから。それとなにかあった時は必ず俺か小鳥遊に言うこと。約束して」
ひとりで悩まないように釘を差すと、彼女は素直に従った。
「はい。ありがとうございます」
それでいい。
彼女は俺が見つけた唯一無二の存在。
だから、誰にも傷つけさせない。
「大丈夫。必ず守るよ」
いつものように茉莉花ちゃんの頭を撫でる。
もう彼女の身体の震えは止まっているが、田辺のことは頭に残っているはず。
忘れさせなければ。
「いつも茉莉花ちゃんに励ましてもらってるから、今日は俺が魔法をかけてあげよう」
俺のことで頭がいっぱいになれ。
思いを込めてチュッとキスをする。
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