天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
小さくてシワシワの手をしっかりと握り、声をかける。
そんな私に先生は約束した。
『おばあちゃんは絶対に助けるよ』
その目には一点の曇りもない。
それに、先生がキラキラ輝いて見えた。
この人は……まるで神だ。
人の命を助けるなんて……普通の人はなかなか言えない。
病院に着くと、氷室先生はおばあちゃんをストレッチャーに乗せてERに運んだ。
それが、先生と言葉を交わした最初の日。
そのことがきっかけで、先生は病院で私を見かけるとよく声をかけてくるようになった。
最初は私のことを朝子おばあちゃんの孫と思っていたようだが、受付事務員とわかると謝罪された。
『ごめんね。朝子おばあちゃんのこと親身になって世話してたから勘違いした。茉莉花ちゃんがいてくれてよかったよ』
『いえ。朝子おばあちゃんを助けてくださってありがとうございました。先生は本当に神の手を持っていますね』
多分先生がいなかったら、朝子おばあちゃんは助からなかったかもしれない。
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