天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
俺の話が気になったのか、小鳥遊は突っ込んで聞いてきた。
「今日入院した患者さんの家族がたまたま彼女が昔見合いした相手だったらしいんだけど、危険な相手でね。あの医療機器メーカーの田辺の御曹司だ」
俺の返答を聞いて納得顔で頷く。
「ああ、田辺の御曹司か。確かおばあさんが救急で運ばれてきて久我さんが担当したんだよな」
田辺は病院の院長や事務長を接待し、時には女も世話して高額機器を大量に購入させている。
うちの病院はそういった接待に応じないが、田辺の営業の出入りは減らない。
「茉莉花ちゃんが関わらないように周知徹底してほしい」
田辺の御曹司がまだ茉莉花に関心があるかはわからないが、近づけない方がいいだろう。
飲み物に薬を入れていたという話が気になる。
「わかった。香織にもよく言っておく」
俺の話に小鳥遊は真剣な顔で頷いた。
「あと、悪いんだけど、今日の当直変わってくれないか?」
茉莉花ちゃんは一応元気にはなったが、まだケアは必要だ。
「ああ。わかった」
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