天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
「煩い。余計なお世話だ」
俺の言葉を聞いて機嫌を悪くする親友に忠告する。
「誰かに取られてからじゃ遅いんだぞ。じゃあ、俺はちょっと院長のところに行ってくるよ」
ソファから立ち上がり、院長室に向かった。

仕事を終わらせてマンションに帰ると、部屋着に着替えて弁当箱を洗った。
「これを返すついでに、茉莉花ちゃんの様子を確認するか」
田辺に会ったショックから完全に立ち直っているか気になる。
田辺のことが気になっていろいろ調べたのだが、院長から聞いた話では、茉莉花ちゃんの父親は縁談を断る時、娘には今後一切会わないよう約束させたそうだ。
もし破った場合は、社会的に抹殺するとまで言ったらしい。
まあ田辺の元カノに娘が襲われたのだから当然だろう。
片岡製薬に睨まれたら、中堅の医療機器メーカーである田辺は医療業界から総スカンを喰らう。
弁当箱を持って茉莉花ちゃんの部屋のインターホンを鳴らすと、すぐにドアがガチャッと開いた。
「先生、今日宿直じゃないんですか?」
カーキ色の一分丈のパンツに黒のTシャツというラフな格好で現れた彼女。
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