ヤンデレ社長の婚約者なんて、お断りです！

「あの、えっと……」

近すぎる距離に瑠愛の顔は自然と赤くなり、一気に恥ずかしさが込み上げてくる。しかし、前からは秀一に迫られ、体は車のシートに沈んでいるこの状況では、逃げ場など探してもない。

顔を赤くし、言葉を探す瑠愛を見て、秀一はフッと笑った。そして瑠愛の手は秀一に絡め取られ、シートに完全に縫い付けられる。

「……俺は君を必ず手に入れたい、君と結婚したいと本気で思っている。悪いが、君が他の男を好きになった場合は、どんな手段を使ってでも君とその男を引き離す」

そう言う秀一の目は光を失い、恐ろしく無表情になっている。瑠愛は反論したかったものの、言葉は先ほどとは全く違う理由で出てこなかった。

「俺は好きな人が幸せになるのならと諦める善人でも、君の気持ちが傾くまで何十年でも待てるような利口じゃないんだ。瑠愛を離すつもりはないし、逃がさない。何があっても絶対に手に入れる、だから君が何を言おうと無駄だ。君のご両親は、僕との結婚を喜んでいるからな。瑠愛、君に逃げ場はないんだ」