ヤンデレ社長の婚約者なんて、お断りです!
瑠愛の瞳が大きく揺れる。そう、瑠愛の歩いて行った未来という道の先には、どんなに回り道をしようが彼との結婚という未来しかない。それは薄々気付いていた。

瑠愛の両親はこの結婚を最初は「歳の差があるから」と渋ったものの、瑠愛の知らないところで秀一に言いくるめられ、今では「玉の輿だな」と喜んでいる。そして彼の両親は、息子がようやく結婚したい人と出会えたと最初から反対していなかった。

「だから、逃げることも、他の男に目移りすることも瑠愛は許されない。わかったか?」

瑠愛はゆっくりと頷く。恐怖とゾクゾクした不思議な感覚が心を支配し、自然と頷いていた。

「いい子だ」

秀一は先ほどの怖い表情はまるで嘘のように、幸せそうな笑みを浮かべる。そして瑠愛のおでこに一度キスを落とした後、学校へ行くために車をまた走らせた。

「別に、瑠愛の全てを束縛するわけじゃない。大学は女子大なら通ってもいいし、仕事も俺のそばで働くならしてもいいからな。入籍と式は高校を卒業したらすぐにしたいけど」
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