ヤンデレ社長の婚約者なんて、お断りです!
幸せそうに隣で秀一は微笑んでいるものの、瑠愛の頭にはその言葉は入って来なかった。ただ考えていたのは、時間を出会った日に巻き戻したいということだけだ。あの日、秀一を助けなければこんなことにはならなかったのだ。

(こんなヤンデレな人と結婚なんて、絶対に断りたいんだけど!)

しかし、その言葉を言えばどんな扱いを受けるかわからない。わかるまで俺の愛を伝えるよ、と彼の家に監禁される未来が簡単に想像できてしまったのが恐ろしいことだ。

「瑠愛?学校に着いたぞ」

監禁されたことを考えてゾッとしていた瑠愛は、秀一の言葉でハッと目の前を見る。気付けば車は校門の前に止まっていて、ギラギラの高級外車を生徒たちが興味津々といった目でチラチラ見ながら通り過ぎていく。

「降りないなんて、このまま学校をサボって俺とデートでもしたいのか?ならーーー」

「いえ、違います!ただボウッとしてしまっただけです!」

瑠愛は慌ててかばんを片手に車から降りようとした。しかし、その手を秀一に掴まれる。
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