猫を拾った
駅について、新幹線に揺られること数時間。
やっと大都会、トウキョウについた。



「荷物は俺が家に運ぶ。このカフェにその女がいるから」



そう言ってカフェの前に置き去りにされた。
ええぇ...なんて心の中で困惑しつつも、カフェの中に入る。

可愛らしいドアベルが鳴った。

店内には1人しかおらず、その女の人はすぐ見つけることが出来た。



「...はじめまして。」


「はっ...はじめまし、て...」


「神門優里です。どうぞ座って、紫さん」



席に着くと、カフェラテが運ばれてくる。
湯気が立っていて、落ち着くような良い香り。



「面倒なものに捕まったんですね」


「へっ...?」


「それに、首を切って殺したんでしょう。残酷ですよ、アキさんは」


「...全部聞いたんですね」


「私はそんな風に、親が死んで悲しくなかった」



優里さんはいかにも大人の女性。20と聞いていたが、私よりひとつ上とは思えない。

20代後半のような落ち着きがある。



「でも、紫さんは...お父さんとの関わりが多かった分、思い出すことが多い」



私は悲しくなかった、そう言ったが、彼女は私の想いを否定はしなかった。
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