猫を拾った
「律さんは、どんな方なんですか」


「...私のことになると、急に目も耳も脳もなくなるような人」


「......一途な方なんですね」



それはそう、なんて、微笑む。

こりゃ好きになるわけだ、優里さんのこと。


私は少し苦手なタイプだと思っていたが、そう言う訳ではなかった。

彼女はただ、冷静に分析しているだけ。

そして慎重に言葉を選んで、真剣に話をしてくれている。



「アキさんから聞きましたか、これからのこと」


「これからのこと、ですか?」


「アキさんも律さんも、夜の人間です。だから、夜は私たち二人、昼は互いのパートナーと。」


「パ、パートナー...ですか」


「...夜はこうして話しましょう」



大丈夫、すぐ慣れるよ。そう言って笑う優里さん。
やはり1個上の女性には思えない。

私より、何十年も生きているように思える。

その余裕が羨ましかった。



「アキさんとは、どんな話をしたの?」


「...共通な話題は、父の話しかなくて」


「......そう。」


「私の母が依頼したとか...少々、信じられない話ばかりで」



ポツポツと思い出す、昨日の会話。
昨日話したばかりのはずなのに、鮮明には思い出せなかった。
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