猫を拾った
「...あ、そろそろふたりとも迎えに来る時間ですね」



そう時計を見て優里さんが言う。
可愛らしいドアベルが鳴った。

振り返ると、不機嫌そうな顔をしたアキさんと、その横でニコニコしている男性。

この人が、噂の律さん...



「ふふ、優里...迎えに来るのが遅くなってごめんね」


「時間通りでしょう」


「そんなことはない、3分遅れた」



律さんは優里さんを抱きしめる。
...カップルめ。

不機嫌そうなアキさんに視点を合わせる。



「......帰るぞ」


「あ、はい。」


「また明日、紫さん。」


「また明日、優里さん。」



そう別れの言葉を告げて、店の前に止めてある車に乗り込む。

アキさんは黒い車、律さんたちは白い車。



「楽しかったか」


「ええ、優里さんが大人っぽくてびっくりしました。...なのに、ひとつ上」


「15の時から、肝が据わってる人間だった」



人間は簡単には変わらない、アキさんはシートベルトをつけて発進する。



「...ものすごく、不機嫌じゃありません?」
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