猫を拾った
「...そんなことはない。」


「そう、ですか」


「ただ少し、面倒な仕事が明日の夜に入っただけだ」



車を地下駐車場に止める。
高層マンションの、地下の駐車場...

わぁお。

その一言に尽きる。
もう何も言えなんてしない。



「部屋に戻ったら、風呂に入れ。その間に夕飯を用意しておく」


「お先に、いいんですか?」


「あぁ、今日は色々あって疲れただろう」



風呂は沸くように設定してあるから、とアキさんがエレベーターの48という数字を押す。


48階...!?なんて心の中で驚いた。



「優里は、悪いやつじゃなかっただろう」


「...思ったより、律さんのことが好きなようでした」


「あいつを生かすのも殺すのも、結局はリツ次第だ。だから、殺されないためにも側にいるんだろう」


「アキさんも、そうですよね。私を生かすのも殺すのも」


「...そうだな。ただ反対に、お前も俺を殺せるし生かすこともできるだろう」



アキさんが、私の頭を撫でる。
その手が心地よくて、質問の答えなんてどうでも良くなった。



「お前はただ、この家にいるだけでいいんだ」
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