猫を拾った

-Day 2.5-

彼女の寝顔を見つめる。
リツが言っていた、何か一つに薬を混ぜるのではなく、満遍なく薬を混ぜるのだと。

夜遅くまで起きていられたら困る。

当分の間は、俺の生活に合わせて、昼は寝て、夜に起きていてもらう。


この女を連れてくるのは、律の提案だった。


一度殺さずに、母親に会わせてみよう。
随分残酷だと思いながらも、俺はそれを承諾した。

残酷だと思いながら、実際にやった俺も悪だ。


ピコン、となった彼女の携帯。
見ると、メッセージだった。



【俺、心配なんだけど】


【誰といるの?】


【もう寝ちゃった?起きたら連絡して】



鬱陶しくなって、スマホの電源を落とす。

...こいつには、恋仲がいるのか。



『あわよくば、好きになっちゃえば?』


『あの女の顔だと、可愛くない訳では無いだろうし』


『いい加減、深海魚も1人は飽きたでしょ』


『一週間のお試しプラン。僕からは優里を派遣するよ』



リツは、頭がおかしい。
自分の欲望にまみれすぎている。

しかしその分、他人の欲望にも敏感だ。

1人は嫌いという俺の気持ちを、どこかで察していたのかもしれない。
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