猫を拾った
「そういえば」


「なんでしょう?」



トイレに行った優里さん。
トイレに入ったことを確認して、律さんが話し出す。



「心残りとかないの?」


「...いえ、なにも」


「ふぅん。別に容姿が悪いわけじゃないし、彼氏とかいそうって思ったけど」


「付き合ってる人はいますよ。...好きかどうかは別として」


「へぇ?」


「なんかもう、どうでもいいかなって思ってます」



最後なんて言いつつ、結局また別の人をすきになる。


最後の一本にしようと飲んだ酒も、最後から何番目かの酒になる。

最後の一本といったタバコも、また買い足して最後じゃなくなる。


人間は最後と言ったものを続けがちだ。

もしくは、また別のものに依存する。


きっとあの人は私を最後だなんて思っちゃいない。


最後から、きっと三番目くらいだ。



「君は辛くなかったの?付き合ってて」


「...辛いと言うか、面倒でした。やっぱり、好きじゃないって言うのは強くて」


「ふぅん...ま、もうどうでもいいって思ってるならいいんじゃない」



優里さんが戻ってくると、彼はアキさんの部屋で寝ると言って、行ってしまった。
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