猫を拾った
「紫はさ」


「...はい?」


「本当に、生きたいの?」


「え?」



さて、彼女に生きたいなんて話をしただろうか。
一昨日のカフェでの会話を必死に思い出す。

しかし、もう一昨日の記憶は呼び起こせない。



「どこかで迷ってるんじゃない?自分が死んだらアキさんは、一人になる」


「...いえ、迷ってなんか......」


「自分が死ねば、死んでしまいさえすれば、彼には報酬が入る」



『お前がここまで喜ぶなら、毎日やってもいいかもしれないな』



私が居なくなれば、彼が自炊する理由はなくなってしまうだろう。

でも私が居なくなれば、彼の生活はもっと豊かになる、もっと金が手に入る。


私が居なくなれば...



「無理に生きる必要は無いよ」


「え?」


「でも、無理に死ぬ必要も無いよ」


「......」


「生きて苦しむか、死んだ後を想像した時の恐怖に打ち勝つか」



どっちがいい?なんて意地悪に聞く。
打ち勝つ、なんて言い方だけだ。

結局は、悩んで苦しむのだろう。


今の私でも、まだ...
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