猫を拾った

-Day 7.5-

俺はただ、何かを失った気がした。

それはただ紫を殺したからじゃない。



『それで、あなたが生きてくれるのなら』



その言葉が頭に残っている。
やけに濃くて、やけに急展開な7日間だった。

生きるか死ぬか、選ばせることが出来なかった。

それが悔しい。


選ばせてやると言ったのは俺だ。

...でも、諦めて死ぬことにしたのはあいつだ。



『あの子が欲しいなら早く手に入れればいいのに』



リツが昨日言ったことだった。
殺してでも、監禁してでも。

結局俺の傍にいれば一緒だとあいつは言った。

でも俺は、なにかそれは違う気がしていた。


あいつは言った。
父は何か言い残したかと。

しかし、それは俺に聞くまでもなかったらしい。



『あなたが、生きてくれるのなら...』



「...紫を、頼みます」



あの男は、やけに冷静だった。

ナイフ片手の俺がいても、表情1つ変えようとしない。


挙句の果てには、俺に紫を託した。

俺はあいつと恋仲でもなければ、あの日、ほぼ初対面だった。
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