猫を拾った
「お前は俺に興味を持つようになるんだろうか」


「え?」


「そしてまた俺も、お前に興味を持つのか」



ある種の実験だ、アキさんは言う。

たしかにさっきの話は私とアキさんで例えると、私がアキさんに監禁されているようなものだ。

アキさんがいうのは、私がアキさんに興味を持つだけでなく、アキさん自身もそうなるのではないかということだ。



「俺がお前を監禁したとしたら...俺はきっと、お前を死なせないために毎日帰るだろう」


「...そう、ですか」


「きっとそうなったら、俺がお前を監禁しているんじゃなくて、お前が俺を引き付けているようなものだ」



私が、アキさんを引き付けているようなもの。

たしかにな、なんて考える。


監禁するのなら、殺すなんてことしないだろう。
ましてや、放置して死ぬだなんて。

死なせるなら死なせるで、アキさんなら自分の手でやるだろう。



「......お前は、犬派か猫派、どっちだ」


「私は...猫派、ですかね」


「奇遇だな、俺もだ」



コロコロと変わっていく話題についていけるか、ひとり不安になる。

人殺しと仲良くなる理由なんて私には無いのだが、それでも少しは話す気がある。


...大丈夫かな、私。

1人で不安になっていると、アキさんが話を続けた。
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