御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
今日も夜中に帰ってきてベッドの中に入ってきて、彼の手が背中から胸の方に伸びてくる。

「すみません。今日は無理です」

「何故ですか?」

後ろでがばっと起き上がった玲音が寝ている私を見下ろしながら言っている。

でも、そんなに騒ぎ立てる事ではない。女性は男性と違って月に1度のあれがやってくる。

そもそも連日連夜で私は疲れている。
仕事で抱かれるというのは色々な意味で疲れるのだ。

そして、玲音の家族に結婚を認めてもらってからというもの、毎日のように常識に関する勉強、マナー講座、立ち振る舞いのレッスン、華道、茶道、書道、ありとあらゆる貴婦人になるためのお勉強を弘美さんの監視の下、行っているのだ。

こういう日くらいはゆっくり休む時間が欲しい。

「結婚を取りやめるということですか?」

「違います。その、できないんです」

「体調が悪いのですか? 確かに今日は疲れている顔ですね。分かりました。今日はゆっくり休んでまた明日から――」

「明日も無理です。ってか一週間くらい無理」

「何故一週間も無理なのですか? 信子さんと旅行ですか? 費用は大丈夫ですか? 今回は事後申請でもいいですが、できれば事前申請してくれると助かります」

毎日、事が終ると彼は私のことについて尋ねてくるようになり、信子の名前は何度も出て来たので覚えたようだ。
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