御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
「あ、はい」これからサプライズ報告なので具体的な事は何も言えない。

とりあえず会釈して彼から逃れるために歩き始めた。

ハイヒールは近所を歩いて練習したので少しは慣れてきたが、それでも初めて履く靴は不安で一歩一歩がゆっくりだ。

そんな私に彼はついてきているので、まるで彼と二人で会場を歩いているかのようになってしまった。

「そのネックレス素敵ですね。お似合いですよ」

「ありがとうございます」

「今日は相手探し?」

「へぇ?」

「ぷぷぷっ。その顔面白い」

失礼な人だ。

「俺は花岡(はなおか)(つばさ)。婚約者はいるけど彼女はいないからどう?」

どうってどういう意味だ? しかも婚約者はいるとい言っているあたりおかしな言動としか受け取れない。

しかも今……

「は、花岡さん?」

つまり、玲音のいとこ? まさか、まさかよね。どう見ても日本人。玲音に似ても似つかない。

「そう。俺ならそのピンクサファイヤをダイヤに変えてあげられるけど?」

けど? って何?

「あの、間にあっているので」

「つれないな。君みたいな素朴な子って中々いないから味見してみたいんだよね」

味見ときたか。相手にするのはやめておこう。

「相性が良ければずっと愛人として養えるけど?」

だからけどって何? けどで終わらすところもなんだか嫌だ。

しかも、親兄弟親戚一同が揃いに揃っている中でナンパとはチャラすぎる。
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